家族の資産を合算して見ると、何が分かるのか
世帯の資産配分は、一人ひとりの口座を見ているだけでは分かりません。合算と個別を切り替える意味を考えます。
家計は世帯で回っているのに、資産は個人ごとに見ている
住宅ローンも教育費も老後の生活費も、世帯で考えます。 ところが資産のほうは、証券口座が個人名義である以上、 一人ひとりバラバラにしか見えません。
「うちの世帯で、株式はいくら持っているのか」 この問いに答えるには、夫の口座と妻の口座と、 場合によっては子ども名義の口座まで足す必要があります。
合算すると見えるもの
世帯としての資産配分
よくあるのが、一方が株式中心、もう一方が現金中心という組み合わせです。 個別に見ると「株式に偏りすぎ」「現金を寝かせすぎ」と見えますが、 合算すると案外バランスが取れている、ということがあります。
逆のこともあります。二人とも同じような米国株のインデックスを買っていて、 世帯で見ると米国市場に極端に集中していると分かる場合です。 それぞれは「分散している」つもりでも、合わせると偏りが増幅されます。
NISA 枠の使い方
NISA 口座は1 人につき 1 口座です。夫婦であれば 2 人分、 成人した子どもが自分で口座を持てば、その分の枠もあります。
枠は個人単位で与えられるので、世帯として非課税で運用できる金額は、 制度を使っている人数に比例します。誰の枠がどれだけ残っているかは、 合算して眺めないと把握しにくいところです。
枠を活かしたいからといって、資金を動かすのは別の問題です。 一方が出したお金を他方の名義で運用する場合、扱いは事実関係によって変わります。
- 受け取った側が自分の財産として管理・処分できる状態なら、 それは贈与であり、贈与税の対象になり得ます
- 名義を借りただけで、実際には出した側が管理している状態なら、 出した人の財産とみなされることがあります(いわゆる名義財産)。 相続の際に問題になるのはこちらです
「合算して見る」ことと「名義を移す」ことは別です。 この記事で扱うのは前者、つまり記録と把握の話にとどまります。 資金の移動については税理士にご確認ください。
相続や万一のときの備え
家族の誰かが亡くなったとき、遺された人が最初に困るのは 「どこに何があるか分からない」ことです。複数の証券会社に口座があり、 暗号資産の取引所まであると、探すだけで大変な作業になります。
世帯の資産を一覧にしておくことは、資産運用のためだけでなく、 いざというときに家族が困らないためでもあります。
合算だけでは足りない — 個別にも見られること
では常に合算していればよいかというと、そうではありません。 合算だけにすると、今度は個人ごとの状況が見えなくなります。
- NISA の枠は個人ごと。誰の枠が残っているかは個別にしか分からない
- 売却時の税金も個人ごと。利益が出ている人と出ていない人で判断が変わる
- 目的が違うことがある。子ども名義は教育費、本人は老後資金、というように
つまり必要なのは「合算か個別か」ではなく、 同じ画面で切り替えられることです。 世帯の配分を確認したいときは合計で、枠や税を考えるときは個人で見る。 この行き来ができないと、どちらかの視点が抜け落ちます。
記録するときの単位
家族の資産をまとめて記録するとき、単位の決め方が結果を左右します。
「持ち主」を単位にする
証券会社ごとではなく、人ごとに分けるのが基本です。 会社は変わることがありますが、持ち主は変わりません。 また、税や NISA の枠は人に紐づくので、人単位のほうが判断に使えます。
口座種別はメモで区別する
同じ人が特定口座と NISA 口座で同じ銘柄を持っている場合、 持ち主は同じでも別の明細として記録します。 取得単価が違い、税の扱いも違うためです。
子ども名義の口座も分ける
子ども名義で運用している場合も、独立した持ち主として記録します。 用途(教育費など)が違い、いつ使うかも違うためです。 混ぜてしまうと、必要な時期に必要な額があるかが見えなくなります。
記録のうえでは世帯の参考値として合算できますが、 子ども名義の財産は、親が自由に使える世帯共通のお金ではありません。 所有者と使う目的は、はっきり分けておいてください。
まとめ
- 家計は世帯単位なのに、証券口座は個人名義なので資産だけがバラバラに見える
- 合算すると世帯の資産配分・NISA 枠の使い方・万一のときの所在が見える
- ただし合算だけでは、枠や税の判断に必要な個人ごとの情報が消える
- 必要なのは合計と個別を切り替えられること
- 記録の単位は「持ち主」。口座種別はメモで区別する
- 合算して見ることと、名義を移すことは別。資金移動は税の問題になる
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