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米ドル建債券の評価額は、どう計算されるのか

米ドル建債券の評価額は、どう計算されるのか

公開: 2026-08-04

額面・単価・利率という独特の考え方を、株式と同じ画面で扱うために整理します。

債券は「何株」ではなく「額面いくら」で持つ

株式に慣れていると、債券の数え方に戸惑います。 株式は「100 株を 1 株 50 ドルで買った」と数えますが、 債券は「額面 5,000 ドルぶんを、単価 100.42 で買った」と数えます。

この「単価」が曲者で、額面 100 あたりの価格を意味します。 100.42 なら額面より少し高く、98.50 なら額面より安い、ということです。

評価額の計算

評価額は次の式で求めます。

評価額(ドル) = 額面 × 評価単価 ÷ 100

額面 5,000 ドル、評価単価 101.20 なら、

5,000 × 101.20 ÷ 100 = 5,060 ドル

取得原価も同様に、額面 × 取得単価 ÷ 100 で求めます。

これは債券そのものの時価です。実際の受渡金額には、 前回の利払日から売買日までの利息(経過利息)や手数料が加減されます。 証券会社の画面に出る評価額に経過利息が含まれるかどうかは、 会社や画面によって違います。金額が合わないときは、まずここを疑ってください。

なぜ 100 で割るのか

債券の価格は歴史的に「額面 100 に対していくらか」で表示されてきました。 額面がいくらであっても、価格の水準を同じ物差しで比べられるためです。

額面 1,000 ドルの債券と 10,000 ドルの債券があっても、 単価 101.20 と言えば、どちらも「額面より 1.2% 高い」と分かります。 株価のように絶対額で言うと、額面の違いに埋もれてしまいます。

年間利息の計算

債券には配当ではなく利息(クーポン)があります。 こちらは評価額ではなく額面に対して計算します。

年間利息(ドル) = 額面 × 利率(%) ÷ 100

額面 5,000 ドル、利率 4.000% なら、年間 200 ドルです。

重要なのは、この額が購入価格に左右されないことです。 単価 95 で買っても 105 で買っても、額面 5,000 ドルで表面利率 4% の固定利付債なら、 受け取る利息は年 200 ドルで同じです (発行体が契約どおり支払う場合。変動利付債やゼロクーポン債は計算が別です)。

だから「買った価格に対する利回り」が変わる

受け取る利息が同じなら、安く買った人ほど、投じた額に対する利息の割合は高くなります。

単価 95 で買った場合200 ÷ (5,000 × 0.95) = 4.21%
単価 105 で買った場合200 ÷ (5,000 × 1.05) = 3.81%

これは年間の利息を購入価格で割っただけの値です。 満期まで持ったときの利回り(最終利回り)とは違います。

最終利回りには、満期に額面で償還されることで生じる差益や差損、 残りの期間、受け取った利息を再投資したときの効果などが入ります。 単価 95 で買えば償還時に額面との差が利益として乗るので、 最終利回りは上の 4.21% よりさらに高くなります。 逆に 105 で買えば差損が出るぶん、3.81% より低くなります。

配当の記事で触れた「取得比利回り」と同じ発想ですが、 債券には満期があるぶん、それだけでは足りないということです。

株式と違って、相場が自動で取れない

債券にも識別のための番号はあります(CUSIP や ISIN と呼ばれるもの)。 ただし株式のティッカーのように、そこから誰でも現在値を引ける形にはなっていません。 取引所ではなく相対取引(店頭取引)が中心で、 流通量の少ない銘柄では気配値そのものが乏しいためです。

そのため個人が使える範囲では、評価単価は 証券会社の画面を見て手で入力するのが現実的になります。

更新の頻度は高くなくてよい

債券の価格は株式ほど頻繁には動きません。満期まで持つつもりなら、 途中の価格変動は最終的な受取額を左右しません (発行体が契約どおり支払い、繰上償還されなければ、満期に額面が償還されます。 繰上償還の条項が付いた債券は、満期前に返ってくることがあります)。

そのため更新の頻度は低くて構いません。 ただし残りの期間が長い債券や、信用力に不安のある発行体では価格が大きく動きます。 一律に「年に数回で十分」とは言えず、持っている銘柄の性質によります。

評価単価を入れずに取得単価のままにしておくと、 画面上の価格損益はゼロと表示されます。これは表示上そうなるだけで、 実際の時価がその通りという意味ではありません。額面と利息の計算は正しく行われます。

円で見ると、為替の影響が大きく出やすい

債券の価格変動が株式ほど大きくないぶん、 円換算したときの損益では為替の動きが目立ちやすくなります (残りの期間が長い債券や信用リスクの高い債券では、価格そのものの影響も無視できません)。

1 ドル 140 円のときに 5,000 ドルの債券を買い、 価格が変わらないまま 1 ドル 160 円になれば、 円建てでは 700,000 円が 800,000 円になります。10 万円の増加は全額が為替差です。

このため、取得為替を記録しているかどうかで、見える数字が大きく変わります。 記録していないと、円建てでは「ずっと横ばい」に見え続けます。 詳しくはドル建て資産の円換算で扱っています。

記録しておくとよい項目

銘柄コード証券会社のコードなど、英数字だけの見分けがつく符号。コードが分からなければ「UST20340515」のように種別と満期日を並べた自作の符号でかまいません
銘柄名「米国国債 4.000% 2052/11/15満期」のように、利率と満期が分かる形
額面保有している額面金額
取得単価額面 100 あたりの購入価格
評価単価現在の時価。空欄なら取得単価と同じ扱い
利率年率。年間利息の計算に使う
取得為替買ったときの USD/JPY

銘柄名に満期を入れておくのがおすすめです。 複数の債券を持つと、どれがいつ償還されるのか分からなくなります。

まとめ

この記事は一般的な情報の整理であり、投資や税務の助言ではありません。 実際の評価額・受渡金額・利回りは、ご利用の証券会社の書類でご確認ください。

この記事の内容は、実際に動くツールで確かめられます。

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